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キーエンス 高付加価値経営の論理
あらすじ
生産財企業に求められるイノベーションは、顧客企業が大きな価値を享受できるソリューション提案です。自社の商品と顧客企業の現場での提案を組み合わせて、顧客企業の売り上げや利益が向上し、コストが低下する提案ができれば、顧客はその費用対効果に応じて、大きな対価を支払ってくれます。
本書は、この視点から、生産財企業を日本で最もうまく経営しているキーエンスを事例として、イノベーションの論理と実践の両面から説明するもの。
キーエンスは自動制御機器、計測機器などの販売および製造を行う。「最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる」という経営理念を掲げ、2020年度も含めて過去30年以上にわたって売上高営業利益率が平均40%を超える日本の製造業としては最高レベルの業績を上げています。さらには2021年度は営業利益が4180億円と日本を代表する製造業の一つとなっています。
キーエンスにとっての価値創造の鍵は、「世の中にない商品」によって「顕在化していない潜在ニーズ」を発掘することにあります。顧客がほしいと思うものをそのまま提供するのではなく、顧客が「こんなものがほしかったんだ」と新たに気づき、本当に喜ぶものを提供し、顧客の利益拡大に貢献するのです。
本書は、これまで研究者の調査・取材に応じることがなかったキーエンスから、本として初めて出版協力を得たもの。なぜキーエンスが成長し続ける企業なのかを論理的に解明します。
目次
第1章 高付加価値経営による社会貢献
1 高付加価値経営の概要
2 キーエンスの歴史――イノベーション企業
3 目標としての付加価値最大化と社会貢献
4 付加価値の社会的価値――雇用、税金、研究開発
5 社会貢献の本質と粗利8割
6 組織哲学――役職・階層より論理
7 社会貢献に向けた共同体としての会社
8 結果とプロセスの両方を重視――因果関係の理解と学習
第2章 イノベーションの源泉――顧客企業の利益増加
1 高付加価値の源泉――喜んで大きな対価を支払う商品
2 すべての目標は顧客企業の利益向上
3 直接販売によるソリューション提案――商品力+コンサルティング能力
4 顧客企業の経済的価値の向上
5 付加価値向上が社会貢献――「時間チャージ」
6 顧客企業の製造現場や開発プロセスを知る――顧客ニーズや困りごとを超えて
7 多くの顧客企業を深く知る重要性
8 顧客企業から学習するための必要条件――信頼と期待
9 全社的な目標の一貫性と学習組織
第3章 生産財のイノベーション――理論解説編
1 顧客価値の暗黙化――機能的価値と意味的価値
2 生産財における意味的価値――ソリューション価値
3 生産財企業の顧客企業に対する優位性――ソリューション提案の源泉
4 市場起点から顧客起点へ――マス・カスタゼーション理論
5 顧客価値最大化の論理――経済性と潜在性
6 SEDAモデル――生産財におけるアート思考
7 理論解説編まとめ
第4章 顧客価値イノベーションの組織
1 強固な事業部制と商品展開
2 事業部の組織構成と仕組み
3 営業組織と営業所
4 販売促進グループ
5 商品開発の役割と組織――技術者ではなく商品開発担当者
6 新商品開発の組織――商品開発グループ・商品企画グループ
7 商品開発と営業によるSEDAモデルの実現
8 本社機能――小さい本社
第5章 顧客価値イノベーションを支えるソリューション部隊
1 真の顧客価値の探求――高い経済的価値と費用対効果
2 営業のソリューション提案能力構築
3 顧客価値イノベーションの好循環
4 好循環が継続されるバックボーン
第6章 高付加価値の新商品企画・開発
1 新商品開発の条件
2 顧客価値優先の商品開発における商品企画Gの存在意義
3 商品開発における顧客知識の学習と活用
4 商品開発の成功事例
5 商品開発の特徴――まとめにかえて
終章 学ぶべき高付加価値経営
1 イノベーション――顧客企業の利益増加が社会貢献
2 顧客ニーズを超えたソリューション提案――強固な専門家集団
3 顧客を深く・広く学習する仕組み――マス・カスタマイゼーション
4 技術革新とソリューションの相乗効果
5 市場の規模と成長ではなく顧客価値での参入
6 ビジョンと目標の実現を徹底して目指す経営――言い訳の排除
著者紹介
1959年広島県生まれ。81年大阪大学工学部卒業、同年マツダに入社。
88年マサチューセッツ工科大学より経営学修士取得。93年マサチューセッツ工科大学よりPh.D(経営学博士)取得、94年神戸大学経済経営研究所助教授、99年同教授、2008年一橋大学イノベーション毛研究センター教授、18年大阪大学経済学研究科教授。主著に「マルチプロジェクト戦略」(日経・経済図書文化賞、有斐閣、1996年)、Thinking Beyond Lean(共著、中国語、韓国語、仏語へも翻訳、Free Press、1998年)、「製品開発の知識」(日経文庫、2002年)、「マネジメント・テキストMOT【技術経営】入門」(日本経済新聞出版、2006年)、「価値づくり経営の論理」(日本経済新聞出版、2011年)、「アート思考のものづくり」(日本経済新聞出版、2021年)などがある。
シリーズ名 | --- |
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発行年月 | 2023年3月 |
本体価格 | ¥1,870 |
サイズ・版型 | 四六判(127×188) |
ページ数 | 288ページ |
内カラーページ数 | --- |
ISBNコード | 9784296117406 |
ジャンル | ビジネス > ビジネス・経営・自己啓発 |
映像化・ メディアミックス実績 |
なし |