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沖縄の植民地的近代

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あらすじ

沖縄にとって〈植民地〉とは何だったのか?

琉球併合以来、日本人による差別と偏見に苦しんだ沖縄の人びとは、植民地支配下の台湾でどのように生きたのか。支配―被支配の間を往復した人びとの経験から、沖縄の近代と日本帝国主義を再考する。


――おわりにより

 日本が東アジアにおいて帝国主義的拡大を進め、地理的に近接する台湾を植民地化することにより、琉球列島は国民国家としての日本の辺境に位置づけられるとともに、〈内地〉と〈外地〉の境界領域となった。したがって、沖縄県の近代は辺境性と境界性という二面性の中で捉えられるべきである。

 植民地帝国日本における近代沖縄の辺境性と境界性を具現化したのが、二〇世紀初頭の沖縄県から台湾への人の移動の興隆である。移動は、買物や通院、観光といった日常生活の延長上にあるようなタイプのものから、就職や進学を目的とした長期の滞在、さらには家族ぐるみでの移住といった定住型の移動まで多様な形をとった。本書では、一見両極端と思われる、小学校を卒業してすぐに台湾に渡航し現地で店員や女中として働いた出稼ぎ者と、沖縄県内で中学校や師範学校を卒業後に台湾で医学を学ぶために進学目的で渡航した若者たちの植民地的近代経験について検討した。

 両者に共通するのは、国民国家としての日本の中で周縁化されていく沖縄県で生まれながらも、沖縄の境界性を利用しつつ帝国主義的キャリアを形成した点である。人びとは、植民地帝国日本において辺境であると同時に境界であるという沖縄県の特異なポジションを利用しながら移動し、上昇を志向する近代的主体として植民地台湾を生きた。……

著者紹介

1976年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。オーストラリア国立大学Ph.D(History)取得。シンガポール国立大学アジア研究所ポストドクトラル研究員,台湾・中央研究院台湾史研究所博士後研究員などを経て,2014年4 月より神戸学院大学現代社会学部准教授。専門は,社会史/歴史社会学。
主著:Liminality of the Japanese Empire: Border Crossings from Okinawa to
Colonial Taiwan (University of Hawaiʻi Press, 2019), Rethinking
Postwar Okinawa: Beyond American Occupation (Lexington Press, 2017,
共編著), 『多文化共生のためのシティズンシップ教育実践ハンドブック』(明石書店,2020 年,共編著)

シリーズ名 ---
発行年月 2021年4月
本体価格 ¥3,800
サイズ・版型 A5判(148×210)
ページ数 272ページ
内カラーページ数 ---
ISBNコード 9784790717546
ジャンル 人文・教養・教育 > 歴史・地理
映像化・
メディアミックス実績
なし
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