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鬼の橋
あらすじ
平安初期の京都、妹を亡くし失意の日々をおくる少年篁は、ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込む。そこではすでに死んだはずの征夷大将軍坂上田村麻呂が、いまだあの世への橋を渡れないまま、鬼から都を護っていた。この世とあの世、鬼と人間、少年と大人。二つの世界を隔てる様々な橋が、大人になる手前で葛藤する篁の前に浮かびあがる。家族を亡くし、ひとり五条橋の下に住む少女、阿古那と、田村麻呂に片方のツノを折られ、この世へやってきた鬼、非天丸。それぞれに何かを失った痛みを抱えて生きる人々との出会いのなかで、少年は再び生きる力をとりもどしてゆく。
この世と地獄を往き来したと伝えられる平安初期の文人、小野篁の少年時代を主人公に、思春期の少年の揺れ動く心情が、勢いある筆づかいで力強く、さわやかに描かれます。「元服」という人生における大きな節目を苦しみながらもこえてゆく篁の姿は、現代に生きる子どもたちにも通じ、多くの読者の共感をよぶでしょう。作者が生まれ育った京都の四季や情景も、作品のなかに巧みに織り込まれ、物語にふくらみと陰影を与えています。
伊藤遊さんは、96年に初めての長編「なるかみ」で第二回児童文学ファンタジー大賞佳作を受賞、続いて本作で第三回同大賞を受賞、今回のデビューとなりました。
※サイズ:210 × 158 mm
著者紹介
伊藤 遊(いとう・ゆう)一九五九年生まれ。京都市出身。立命館大学文学部史学科卒業。九六年、はじめての長編『なるかみ』が、第二回児童文学ファンタジー大賞佳作を受賞したことをきっかけに、以後本格的に創作をはじめる。九七年に『鬼の橋』で第三回児童文学ファンタジー大賞を、『フシギ稲荷』で第六回小川未明文学賞優秀賞を受賞。本作がはじめての単行本となる。札幌市在住。太田大八(おおた だいはち)一九一八年生まれ。長崎県出身。多摩美術学校卒業。絵本の仕事に、『だいちゃんとうみ』『馬ぬすびと』『やまなしもぎ』(以上、福音館書 店刊)、『絵本 玉虫厨子の物語』(童心社刊)など。童話の挿絵も、『寺町三丁目十一番地』(福音館書店刊)、『恐竜探偵フェントン』シリーズ(小峰書店刊)など多数ある。小学館絵画賞、国際アンデルセン賞画家賞次席など受賞も数々あり、九七年には『絵本西遊記』(童心社刊)でサンケイ児童文化出版文化賞美術賞を受賞。東京都在住。
太田大八(おおた・だいはち)1918年大阪府生まれ。少年時代を長崎県で過ごす。43年多摩帝国美術学校図案科卒。小学館絵画賞、国際アンデルセン大賞次席、絵本にっぽん賞、赤い鳥さし絵賞、講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞などを受賞。絵本の仕事に『だいちゃんとうみ』『馬ぬすびと』『やまなしもぎ』(以上福音館書店刊)、『かさ』(文研出版刊)、『絵本玉虫厨子の物語』『ながさきくんち』『絵本西遊記』(以上童心社刊)など多数。東京都在住。
シリーズ名 | 福音館創作童話 |
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発行年月 | 1998年10月 |
本体価格 | ¥1,400 |
サイズ・版型 | その他 |
ページ数 | 344ページ |
内カラーページ数 | --- |
ISBNコード | 978-4-8340-1571-3 |
ジャンル | 児童書 > その他 |
映像化・ メディアミックス実績 |
なし |