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辻調すし科
あらすじ
舞台は1988年、大阪・阿倍野。 世界でも知られる料理人育成の名門「辻調理師専門学校」に、当時新設された「すし科」に物語は始まります。
岡山から上阪してきた主人公・長谷川洋右は、すし職人という道に明確な覚悟を持てないまま、迷いを抱えて「すし科」の門を叩きます。彼を迎えたのは、赤坂の名店で修業を積んだ厳格な指導教員・城島。寡黙で強面ながらも、技術と情熱にあふれたこの教師は、かつて極道の世界に身を置いていたという壮絶な過去を秘めていました。洋右の同級生たちもまた、さまざまな背景と個性を抱えて集まってきます。自信家で腕の立つ千住、面倒見のよい姐御肌のミカちゃん、アフリカ・ソマリアからの陽気な留学生ママドゥ、寿司屋の息子で実直な森下、中卒で岩手からやってきた実直な中村──。彼らは互いに支え合い、時にぶつかり合いながら、包丁の扱い方や魚の目利き、さばき方、握りの技術を習得していきます。修業を通して彼らが向き合うのは、寿司という伝統的な日本文化の奥深さだけでなく、自分自身の生き方そのものです。失敗や挫折、仲間との衝突を繰り返すなかで、彼らは一人の料理人として、また一人の人間として少しずつ成長していきます。
一方、洋右たちの成長を支えてきた城島先生は、病により視力を失い、さらには事故という大きな不運に見舞われてしまいます。 それでも、「食」と「人」の力を信じ、技を通じて人を育てることの意味を問いかけ続ける姿は、生徒たちに深い影響を与えていきます。
寿司というグローバルな食文化を軸に、厳しい修業の日々に潜むユーモアや友情、異文化との出会いや摩擦、そして人と人との絆を丁寧に描き出す本作。 「食」とは何か、「職人」とは何かを、読む者の心に静かに問いかける、感動の青春成長物語です。
著者紹介
1969年、大阪市生まれ。88年、辻調理師専門学校を卒業後、フランス・パリで食と芸術の道を志し、95年よりイタリア・ムラノ島にてヴェネツィアンガラス制作に携わる。2008年、第11回オープン国際彫刻展に日本代表として出展し、最優秀グランプリを受賞。14年、第53回日本現代工芸美術展現代工芸賞。21年完成の田邊アツシ監督作品『マゴーネ/土田康彦』が世界各地の11の映画祭にエントリー、計五つの賞を受賞し、大きな話題を呼んだ。本書が小説デビュー作となる。他の著書に『神戸みなと食堂』がある。
| シリーズ名 | --- |
|---|---|
| 発行年月 | 2024年10月 |
| 本体価格 | ¥1,122 |
| サイズ・版型 | 文庫(105×148) |
| ページ数 | 496ページ |
| 内カラーページ数 | --- |
| ISBNコード | 978-4396350819 |
| ジャンル | 文芸・文庫 > 文芸・文庫全般 |
| 映像化・ メディアミックス実績 |
なし |




